【概 要】
「朝起きると、手がこわばって物が握れない」、「指がしびれて痛み、家事が思うようにできない」、このような手指の不調に悩まされている方は少なくありません。特に中高年の女性に多く、近年女性ホルモン(エストロゲン)と深い関係があることがわかってきました。更年期に入り、エストロゲンが急激に減少すると、腱や関節が腫れて痛み、動かしにくくなり、こわばりの原因となります。これが、手根管症候群をはじめとする手指の違和感につながっているのです。
手根管症候群の約80%は、明らかに基礎疾患がない方で、両手に発症することも多いとされています。そして、女性の発症率は男性の3・8倍にも上り、50代の更年期が手根管症候群のピークといわれます。初期症状である指のしびれ、痛みは、自然に治ることもあるのですが、悪化すると、指を自由に動かすことが困難になり、物をつかんだり離したりする動作がスムーズにできなくなります。しかし、怖がる必要はありません。手根管症候群は、適切な対処により症状を和らげ、進行を抑えることができます。なぜなら、私たちの体には自然治癒能力が備わっているからです。
本書では、手根管症候群の検査から治療を分かりやすく解説します。加えて、自分の力を最大限に引き出し、「手指の痛み・しびれ」を和らげるために、適度な運動、睡眠や栄養バランスの改善など、自分でできる具体的な方法を紹介いたします。
薬学博士 鈴木郁功 監修
メディカルライター 夏田樹 著