【概 要】
近年、「本態性振戦」という、手や首、頭、声がふるえる病気に悩まされている人が増えています。特に65歳以上の高齢者では5人に1人は罹っているといわれ、高齢者にみられるものは「老人性振戦」とも呼ばれます。「本態性」というのは「その症状をもたらす原因がはっきりしない」という意味で「振戦」は全身もしく身体の一部が「ふるえ」が起こる症状を指します。具体的には手指が小刻みにふるえる「手指振戦」、首や頭がふるえ、それに伴い声もふるえる「頸部振戦」などの厄介な症状が起こります。病気の原因は、精神的な緊張や興奮、ストレスなどによる自律神経のバランスが崩れ、身体の活動性を高揚させる交感神経が過剰に興奮することによるものと考えられます。
つまり、精神的な緊張やストレスに対して過敏に反応し、自律神経のバランスを崩しやすい体質の人や高齢者が「本態性振戦」にかかりやすいのです。本書では、そのような観点から「本態性振戦」を緩和や改善するには、どうすればよいのかを分かりやすく解説しています。また、「本態性振戦」の症状が緩和や改善することができた方々の体験談も紹介しています。
医学博士 嘉島康二 監修
メディカルライター 稲村四郎 著