【概 要】
めまいは、年齢を重ねるにつれて悩む方が増える症状のひとつです。75歳以上の高齢者の、なんと3割以上の方がめまいやふらつきを自覚しているという調査結果もあります。
高齢者のめまいを引き起こす要因は通常のめまいの原因以外に加齢によるさまざまな機能の低下があります。まずは平衡感覚の衰えです。三半規管や耳石器、視覚からの情報が中枢神経できちんと集約されなくなることからバランスを崩します。血圧の調整がうまくできなくなるのも、要因の一つです。加齢により血液を送り出すポンプの働きが弱まり、脳内の隅々に栄養や酸素が行き届かなくなり、めまいが起こりやすくなるのです。座っている体勢から立ち上がった時にも、高齢の方はめまいを起こします。高齢の方は血圧が下がってしまうともとに戻るのが遅いため、すぐには回復しないのです。
それでは、健康状態に不安を抱える高齢者の方々を悩ます、めまいのつらい症状に対して、私たちはどのように対処すればよいのでしょうか?
本書では、「人間の体が本来待っている自然治癒力を高めることによって症状を改善に導く」という「原因療法」の考え方に基づく東洋医学に着目しました。高齢者の方々が、薬物による副作用の心配なく、体に無理のないかたちで、めまいの症状改善を期待できる様々な手段について、わかりやすく解説しています。
医学博士 嘉島康二 監修
健康ライター 石川雅晶 著