【概 要】
乾癬とは、銀白色の鱗屑(ふけ)をともない境界明瞭な“紅斑”が全身に出る皮膚疾患です。大きさ、数、形は様々で、発疹が癒合して大きな病変を作ることもあります。乾癬にはいくつかの種類がありますが、大半は尋常性乾癬です。尋常性乾癬のメカニズムは、皮膚の真皮にある血管が広がり、リンパ球が皮膚に侵入することで起きる「炎症」と皮膚の表皮細胞がとてつもない速さで分裂・増殖し、角層も分厚くなる「角化症」が同時に起きることです。多くの場合、強い痒みを伴い、進行すると爪の変形や関節の障害などが起こることもあります。つまり、「やたらに痒く」「ポロポロとひっきりなしに皮膚のカスが剥がれ落ちてきて」「醜い肌をさらす」という病気です。
尋常性乾癬が起こるはっきりした原因はまだ分かっていませんが、最近の研究で「自己免疫疾患」と言われる病気のひとつでもあるらしいということが分かってきました。本来は、体内に侵入した異物から自分の身体を守るために働く免疫系に異常が生じ、自己組織を異物と誤認して、抗体やリンパ球が自分の細胞を攻撃し、これによって起きる障害を「自己免疫疾患」と呼びます。それでは免疫系を正常化して、本来あるべき状態に回復させるにはどうしたらよいか。
本書では、「自然治癒力」と「ホメオタシス」といったような、私たちの身体に生まれながらに備わった「身体の様々な機能や健康状態を保つ働き」を活性化することに着目しました。それでは「自然治癒力」や「ホメオタシス」を活性化するためにどうすればよいかを詳述しています。また、それらを実践する事で、尋常性乾癬の苦しみから解放された方々の体験談もご紹介しています。
内科医 野原良二 監修
メディカルライター 稲村四郎 著